1年の運用期間。そろそろいきます。

発売は2013年3月14日。
24.1MPのCMOSセンサーや中央1点のみF8に対応した51点AF。画像処理エンジンもD4と同じ「EXPEED3」を搭載。前作D7000の筐体に新しい要素を盛り込んでいます。
また本機から「×1.3クロップ」が新実装。高画素による余裕から約15.4MPでさらに1.3倍の焦点距離を稼ぐことが可能になりました。
▼投入経緯
M4/3のGF1・GX7・GH3で得てきた運用データを基に、直掩機としての安定度としてニーズはAPS機に固まりました。
投入は2018年12月01日。当初は乗り気ではなく、右に倣えと誰しもが持っているような機体でバッファはお世辞にもあるとは言えず、画素数とAFモジュール以外は焼き直しのような位置づけ。バッテリーグリップを差しても連写の速度は引き上がらない。せめてローパスレスになった。
期待値はD7000で完全に見限っていたAFにどのくらいの信用を持つことが出来るかという事。高画素機を今後運用するための試験機として、D4で時折使っていたクロップ機能に実用性をゆだねていました。
投入して翌日には
AiAF80-200/2.8D NEWと試運転を行い、追従具合を確認。とりあえず昼行でなら拾い、フィーリングはD300系統と同じ感覚で使えるものと認識しました。
ファーストインプレは、『悪くはありません』でした。
▼落下事故発生
むしろここがこの記事の本編かもしれません。
現場は東武宇都宮線の壬生にある鉄橋です。土手道より1段高くなっている場所で三脚を立てて350系の浅草行き特急を狙う撮影プランです。
斜面に三脚をセット。本機をD4の上に、ホットシューアダプターと自由雲台、レンズはAF-S24-85Gが付いた状態です。動画でも回そうとセッティングしていました。かなり仰角の状態で仮セッティングして、目を離した隙に、ホットシューアダプターより上が足元の草地へ唐突に落下。そのまま斜面を進みます。早々に拾いに行こうにも、凍結したコンクリートに脚を滑らせ筆者も2mほど緩やかな斜面を腰から滑り…。
本機が落下速度を上げて落ちて跳ねていく姿は英国の某車番組が頭をよぎりました。やってしまった、、ロックが甘かった。
機体、持ち主ともに、完全に停止してから、拾いあげて外傷をチェック。
当たった箇所はAF-S24-85Gのフードが1ヶ所受け止めており、そこから自由雲台、本体のモードダイヤル、グリップの赤いライン付近と上部に集中していました。
「まあ、(あそこの会社だし)大丈夫であろう」と思いつつ、 液晶は? 駆動まわりは? Ai連動ピン? ミラー・プリズム? 物理切り替え系の破損個所は? あらかた思い当たる箇所をみて1周し、 MENUが開けないことに気づきました。
致命打は
「AEロックボタン」で、外枠の合金が内側へめり込み。強制的にボタンを押しこんだ状態であることでした。筆者が扱うNikon機は必ず親指AFにし、シャッターボタンは完全独立になっています。つまりは、電源を入れるだけで、頼んでもいないのに勝手にAFが回る仕様という事になります。
「(適当に使って月を跨いだらD7200の足しにしようと思ったが…)こんな奴に構っている暇はない」と、メカと電装へのダメージはないものと合点、MFレンズ限定で継戦は可能であるものの、使えない物を可愛がるほど余裕はなく、通過6、7分前になってこの場でのみ本機を放棄しました。
ある意味、こういったアクシデントのために、大事な撮影では荷物が嵩張っても1台もちのパーティーを避けているのです。
1台くらい潰れたところで「まぁいいや・・・」と思うも戦力低下によるショックは少なからずあり、これまで富山・新潟・広島・兵庫でD700を
状態異常の発覚・
戦闘不能にした経験をもっても拭えず、冷静にあたっていけば確実に拾えるD4をもってしてもまともに扱うことが叶いませんでした。毎度のこと、これが甘えと思います。
結局、何をしに現場へ向かったのか。
パンタの処理は甘く、35mmでいった超接近戦に見合う露出を作れず被写体ぶれ。負けを認めて壬生の土地を後にすることになります。帰りの道中は扱い者が大ケガせず多少の打ち身で済んだことを喜びました。

処置前の状態。 めり込んだ外枠により、ボタンは画面9時の方向押し込められて戻らない。
「今から手を尽くす、その上で貴様の答えを聞かせてみろ」
帰宅後のことです。筆者を知る方、また長らくお付き合いいただいている読者の皆様なら感付くのではないでしょうか。右手に握られた金属ヤスリがあります。
すがる思いを持ちつつめり込んだ合金を少しずつ、少しずつ、削ってブロアーで吹き、削って吹き、落ち着いて慎重に削り、押しこまれたボタンは一定の境をもって定位置。そこに右手親指があらゆる条件で乗ることを考え、削りヶ所のカド取りをしてマイルドになったら処置終了です。深追いはしません。

処置後。慎重にいくものの筆者の焦りがヤスリの傷から散見される
その日の昼頃までには症状を改善させ、翌朝の延方へ向かうインフラを予定の本機からGF1へ変更。フランジバックのズレや2次被害を確認作業のために、10日程度はひたすらな試運転を続けました。
答えは真っ当に返ってきました。
▼D7100はどんな機体なの?
2019年春では、自持ちのD7100・D4・D700を1台ずつ起用し、週1で成田線の撮影に臨みました。諸元表には表れない各機のフィーリングを知る機会として、筆者の意思とアウトプットを優先に運用データの収集をしていきます。
FX機の2台は、「愚直に速く、振り回される
最高速度」と、「フィールドに合わせた筆者と相乗による
最大トルク」とわかり、これだ! と違いの実感を致しました。
はたして本機はどうだったか。撮った画像と当時を思い出すと「
小さいシステムで、装備者の小回りへ転換」です。
言い回しとしては酷ですが、大きさなりに中身を考えると
無理ができず、機体を介してアクロバットな撮影の仕方は不思議としなくなります。逆にトータルウエイトを軽くすることで撮影する場を1つ余分に増やせたり、「あっちもいこう」、「こっちもみておこう」といった部分ができてきます。それでいて上級機に比較的あわせてあるUIと取り回しで
カメラを使うことの満足度を損ねません。完璧なミドル機です。
このほか、戦果を要さない偵察時、乗り鉄している時といった、「撮影がメインでない行程の場合」、行く先々で、「時間帯と照明の明るさが読み切れる場合」ではこの程度の大きさは重宝です。大きすぎず、小さすぎず、このくらいが丁度よいのです。それでいて24.1MPのトリミングにも耐える画素数とそれなりに追いかけられるAFがセットでついてきます。
筐体として近い形のD700との差は、剛性、根本的なセンサーの大きさ、レリーズタイムラグ、高感度(体感で)、加減速とトルクのツメです。この辺りは文章にしづらく、大きな差としてあり比較しても絶対的に埋まらない部分であります。
個人の総合評価としてはD700の約80%です。それだけクラスとしてのきちんとした筐体を位置付け、基本性能をもっています。
▼設定まわり
原則としてD700に準拠でありますが、一つだけこのクラスにしかない(知る限り)設定方法があります。
モードダイヤルに「U1」「U2」があります。「絞り」・「シャッタースピード」・「ISO感度」・「ホワイトバランス」・「AFモード」など、その時の設定状態をダイヤルに充てることができるのです。
『ユーザーセッティング』と呼び、メリットとしては、下手に弄りまわしても他所のモードへダイヤルを回して往復するだけで、設定が元通りになるのです。これを使い、基準→夜間仕様へ設定変更→(ダイヤル戻し)→基準まで素早く戻ることが可能です。
露出も固定できる点を活かし、「U1」を流し撮り仕様、「U2」を走行シーン仕様といった振り分けもでき、使いこなしてからも面白さがあります。
このモードはD7000でも設定が可能です。カメラの設定よりも被写体と安全をより注視できますため、素早さ重視の方には試していただきたい機能です。
1つだけ残念なのが「動画撮影ボタン」の設定割り当てが仕事をしないことです。ここに「×1.3クロップ」を充てて、ダイヤル切り替えができれば、昼行に限ってスプリンターになれました。仕方がないので「iボタン」のスタート位置を「撮像範囲」にして煩わしさをもって対応しています。
D850などの上級機、D一桁機との設定まわりの差は慣れです。
☆これからD7100を手にする方へ☆
本機は基礎性能だけは確実にあるデジタルカメラです。現在では中古での入手がメインとなります。
▽買い増しの場合どのクラスからでもD7200へ行った方が費用対効果があるかもしれません。よほど投入コストに悩んだ場合はD7000やD300系統より本機がお勧めです。
▽カメラ未所持で行く場合「低コストで本格的かつそれなりに使える機体」につき、Nikonのデジタル一眼レフカメラとしては候補の一つになります。
余裕があればD7200、D500、各FXフォーマットの機体がよろしいかと存じます。こちらは但し書きとして撮影用途に依存します。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
「2019年11月21日」の中古相場では3万円台後半(ボディのみ)の個体が多いです。レンズキットもあり、ゼロスタートでも5・6万円の予算で始められます。

最後に本機で撮影した1カットを。
クロップ機能で、「とどいてくれ、もう少し」に応える強さとISO2000が遠慮せず選べたところに感銘です。被写体としても待たずに行ってしまいますので、可能性を多く持ち、作戦継続時間を増やし、成功率と選択肢を増やしていく。掛けたコストなりの費用対効果を得ました。
そして、今日まで目立った異常は無く、得意なシーンで補填しながら主力機を護っています。しかしながら、画素数は今や2000万画素程度が当たり前になっている昨今、修理するほど目立ったスペックは無く、寒冷地やリスキーな撮影でのカード切りになった時は捨て石で使おうと考えております。
そこまでやって壊れないとわかった本機は筆者としては一気に信用と愛着へ繋がり、「盾」として、我がパーティーの落としどころに入りました。
メーカーのページはこちら↓
https://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d7100/最終更新 2019/12/02
- 2019/11/21(木) 16:50:27|
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実は当記事でブログを開設してから1,000件目の記事になります。
約5か月ぶりに更新いたします。

EF35-350mm F3.5-5.6L USM です。
本体も持ち主のEOS5D MarkⅡでレビューしていきます。WBは5000Kに統一し、色空間はAdobeRGBです。
8時間程度の試用時間で拾っていきます。

まずは4コマ続けてカバーするズームレンジをみてみます。絞りはF5.6です。
35mm時

100mm時

300mm時

350mm時 ここまでを1本で賄えます。

95mm付近 F5.6で前ぼけ

こちらは開放で200mm付近。

F11で170mm付近

幅広いズームレンジの中でもっとも最短撮影距離が短い135mm付近の作例です。
絞り開放でも目立った崩れ方をせず、エッジの柔らかさを引き立てています。

こちらも開放にて。同じ場所で向きを変えた逆光時のもの。

350mm F5.6時

350mm F8時のぼけの様子です。

ワイド側35mm 開放で出るゴースト発生時の様子です。ハレーションが少ない分、そこまで嫌味とおもいませんでした。

ワイド側は35mmにつき引きがとれます。




5コマ続けてご覧いただきました。
この間、一切のレンズ交換を致しておらず、使用した本体も5D MarkⅡの1台のみです。
ここから下はEOS-1DXで撮影したものです
☆色空間はsRGB WBはオートで撮影。

F5.6時、100mm付近。
ISO25600でもノイズが安定しているので、ミドルが多い画面では力押しでF値の暗い玉も使えるのが強いです。

35mm

230mm付近

F6.3にて。「中央線」など明るいところの精巧な線が頼もしいです。
そろそろ所見に入ります。
★絵に関して
やはり需要が需要で「報道用」が適当と感じます。媒体もA4前後の大きさでアウトプットが目に見えており、それに対して必要なものだけをクリアさせた印象。つまりは、
AiAF24-120/3.5-5.6Dの時と同じく、「一定の距離を離して作例を見てください」です。
その事情を鑑みて、描写の安定はF5.6~F11で作るとよさそうに思えます。
★指標・表示あれこれ

画面上ハシの「SMOOTH-TIGHT」はズームロック機構(アジャストリング)になります。ヘリコイドと一体で当該箇所の他は固定して調整をします。
ロックの加減はかなりの自由度があり、時計回しにTIGHTへ回せば任意で固定ができ、SMOOTHへ回せば速やかにズームレンジを買えることが出来ます。主にロック側の締め具合に慣れるとお好みの重さにできて好適です。
指標は焦点距離のほかに、
「撮影倍率(左)」
「最短撮影距離(右) 」があります。
★高倍率でできるシークエンス
ここが最大級の強みでもあります。
本レンズではレンズ換装なく大変広いズームレンジを1本でカバーします。
スチル1台、手持ちの場合、小玉どうしの交換でも3秒弱は見積もって被写体から目を離して交換をしなければなりません。ここを省略できるのです。
直進式ズームとしてもメリットがここであり、まずは別の玉では主流であるズームリングを回すよりも、本レンズの場合は押しこめば即座にテレ側へ持っていけるところ。また、「SMOOTH-TIGHT」のアジャストリングで固定の度合いは調整できますので、さらなる速写に貢献してくれます。目測で焦点距離の使用を見ながら、最初からファインダーを覗きながら画面の構築、どちらでも素早い動きをとれます。
35mm側の格納時は、本体込みで約50cmほどの物陰があれば収まることが出来、そこから一気に350mmまでの任意位置までズーム、撮影後は速やかに35mm側へ格納して物陰へしまう。という算段も可能です。
都電の最後尾にある運賃箱脇のスペースにて、入口ドア(列車の都合上、終着の電停まで扱わない)を背もたれとし、そこから格納状態でおさめ、欲しい時に展開することが可能であることを確認しました。
Nikonのズームリングで多い「時計回し」で慣れているために、前へ押しこんで伸ばすタイプの直進式ズームは扱いやすく、大変な好印象でした。
★本体依存のパワー重視
即応という点ではなるべく高性能な機体がベストと持ち主から伺いました。ここまでのポテンシャルはAFや高感度でまた変化がありそうです。
持ち主から後日、話を伺うと電池の減りが他の玉で回した時よりも少し多かったとのこと。
・・・ ・・・ ・・・
全ては撮り手の考えと運用のしかたにポテンシャルが見え隠れする1本でありました。
最後にちょっと諸元
EF35-350mm F3.5-5.6L USM
最短:0.6m(画像参照)
絞り開放:F3.5-5.6
レンズ構成:15郡21枚
絞りばね枚数:8枚
最後に
今回は、フォロワーのがくにゃん氏(@GAKU_NN)のご厚意で、なんとか記事まで無事たどり着きました。ありがとうございました。
メーカーのページはこちら↓
https://global.canon/ja/c-museum/product/ef315.htmlINDEXページはこちら↓
http://untenteisya.blog.fc2.com/blog-category-22.html最終更新 2021/01/11
- 2019/11/11(月) 14:32:39|
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