そろそろ送り出す時がきたようです。

Ai-S Nikkor 300mm F2.8 ED IF (NEW) です。
こちらは最短撮影距離が3mのものになります。

近いピント位置で撮ったものから行きましょう。開放の画面です。
これだけD4で撮影したものになります。

ここからはD700。
ピント位置は50mくらいでしょうか。こちらも開放です。

D700の常用感度ぎりぎりのISO6400で。足の遅い被写体をなんとか捉えます。明るいレンズは撮影のチャンスを広げます。

こちらもISO6400。夏至ちかくの19時30分ごろです。
ハイビームの耐性は優秀で、かなり発生を抑えています。

開放で逆光むきのカット

比較用でこちらは開放で半順状態のもの
※こちらの2カットは信越本線撮影の合間、公道から撮影しております。

こちらは絞り込んだF8時の画面。

光線のいいF5.6時の画面のものが出てきたので追加します。

Film:Kodak GOLD200
開放で被写界深度の参考に。

HDDの引っ越し作業をしていたらかなり寄った作例が出てきました。F値は開放のF2.8。

Film:RVP50(+1) GT-X980
Fにポジフィルムを詰めて開放の1発勝負。
東武6050系と背景の山のエッジをよく描き、立体感を引き立たせています。。
作例を揃えていたら、だいぶ似たり寄ったりの絵しか集まらなかったので、この辺で感想に入りたいと思います。
絵のテイストは、Fマウントを送り出してから20年以上の研究を積み重ねて得てきた「考え抜かれた答え」の印象を持ちます。
これに近いものは、当時の50mmの変遷でも見受けられ、
Ai-S Nikkor 50mm F1.4がそれにあたります。角が少しとれたようなそんな絵です。どんなシチュエーションで使っても良好な結果を導き出してくれます。
描写の傾向は覚えている限りで、作例をご覧いただきますように開放から惜しみなく使うことができ、1段しぼったF4からより安定します。
逆光時のエッジの破たんは上手い補正でそれなりに残り、ゴーストの逃がしは
AiAF-S Nikkor 300mm F2.8D Ⅰ型や
SIGMA AF APO 300mm F2.8 ZENのほか、トキナーの金リングなどもみた中で、もっとも優れ、うるさくない結果を出してくれました。
本レンズ含め、明るい超望遠レンズを起用するメリットは、撮影時間の拡張にあります。これはF値1段で何ができるかご存知な方にとっては首を縦に振れる事柄と筆者は考えます。
高感度が伸びるデジタルカメラに、F値が明るいレンズとの組み合わせともなれば、さらなる撮影時間の拡張も可能になります。
F値に伴い圧縮と、より浅い被写界深度による強調が明るい超望遠レンズの起用を促します。昨今ここが本当の真骨頂ではないでしょうか。規格でなければ設けられない領域なのであります。
ハッキリ申し上げましょう。秀逸な絵を魅せてくれます。
レンズの使い勝手はこの昨今において、AFが搭載されていないため、まことに残念ながら万人受けとは言えないでしょう。
重量はサンニッパ規格としては平均的なものです。このレンズ唯一の難は、どのFマウントMF超望遠でも言えたことでありますが、マウント部にある絞りリングからの絞り値調整になることに伴い、構えた状態で絞り値の変更ができません。
余計な機構は積んでいないため故障個所の特定は容易になり、余程ぶつけて光軸を曲げたりしない限りは、保守点検費も安上がりにでき簡便なモデルになります。
また、ある有名中古カメラ店の方によれば、「最新のレンズは部品代(おもに電子系)で高くつき、なおかつ生産が終わったら修理不能になるため、永らく維持するならマニュアルのレンズがいい」と、知り合いのAi-S400mm F2.8購入について行ったとき、そう仰っておりました。
ここで、約6年前から多様な型番の超望遠レンズを扱ってきた経験をもとに、超望遠レンズの運用のしかた等を折角なので記載したいと思います。
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でかい、重いそれだけです。そのへんの70-300mmと扱いは変わりません。丁寧に。
重さで文句を吐いていては始まるどころか電源ボタンすら入れておりません。ましてや電気屋にある品物のサンプル箱を眺めているだけです。嫌なら他の選択肢で妥協することを左拳で強くおすすめ致します。四の五の言わずに鍛えてください。
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重心を知る構えたときにどこにあるかわかります。だいたいのモデルはおおむね分散されていますが、400mmは前寄りか前玉だったりで手持ちで構えたさい、注意です。
前玉を地にして立てると場合によっては転んでしまうもの(
Ai Nikkor ED 500mm F4P(IF)など)もあります。
・
ストラップは付けること上の外観画像は借り物だったためストラップは付けませんでしたが、おもに手持ち撮影が多い場合は、ストラップの取りつけは必須になります。
何故かと申しますと、マウント保護の名目があり、カメラのグリップ本位で振り回していると、力はマウントの接合部分に集約されます。テコとなってしまい、最悪、光軸がズレるといった、カメラ本体側のマウントにも影響がでる恐れもあります。
そうして力がかかってしまい、筆者はSIGMAのアポゼンサンニッパの、フィルターを入れられる手前の部分からなる、接合部分をこれで壊しました。
ストラップはカメラにつけるものと同様のネックストラップで大丈夫です。重さで伸びず、肩にかけた際にしっかりグリップするものがよいかと存じます。
・
周囲に気を使う事最低でも自分の立ち位置から3m圏内になにがあるかを把握します。
当然ながら
後ろもです。わかりやすい例として、『子供が親の手から勝手に離れて指定圏内へ向かって走ってでも来たら。』といった副次的要因を、超望遠レンズ込の長さと、到達時間等を見積もらなければならず、使用を中止することもあります。
またそんな場所で使うことがあるなら、ほかで使うプランをまず検討することも絶対的に視野です。こういう事もあり高密度の場所は多大なストレスとなってしまい、筆者は過度な撮り鉄密集などの「意思によって避けられるもの」を除き人ごみが苦手になり、大勢で密集して何かを撮ることは無くなりました。最悪けが人が出ます。
慣れてきたら、「安全確認(この時点で欲しい露出は完璧にできている)」→「かまえる」→「微調整」→「構える」→「撮影(ワンショット)」→「おろす」
この流れにどれだけの時間をつかったか意識をしてみるとよいでしょう。編成写真など鉄道撮影の場合は、対象の到達時間もこれに加算して数字にします。
これもあって、広角レンズでの空間の情報を集める能力は必須事項となります。「自分の周りに何があり、何がどのようになっているか」視覚情報と処理能力はフルで使います。ついでに物音の距離情報を耳だけで判別できると安全性の貢献につなげることが出来ます。
・手持ち撮影で
ぶれにくくホールドさせる方法1、まずはボディとのマッチングと重心チェック
2、つづいて立ち位置の足元をチェック(砂地、石畳などは特に)し接地を確認
3、適度に足を開いて立ちます。その際、ヒザを遊ばせず必ず固定させます。足を開きすぎるとその姿勢が長く維持できません。
4、構えます。ファインダーの接眼部まで持っていったらどこに重さが載っているか手と腕の感覚を把握します。
5、右手、左手に力は入れません。いつもの軽快さはどこに行ったのでしょうか。
6、上で述べました、
安全確認はよろしいでしょうか? 可否でだいぶ余裕が変わります。
7、大きさ、重さが多少違うだけです。普段通り、慎重に、落ち着いて、大胆に攻めていきましょう。
以上
慣れますと手ぶれ補正の恩恵を肌で感じることが出来ます。必要と感じたら身体を鍛えましょう。
※こちらの方法は利き目が「左」、軸足も「左」の筆者が研究してたどり着いたやり方です。併せて必ずしも正しいやり方とは限りません。あらかじめご了承ください。
ここから下のシークエンスは、本レンズで撮影したものを好みでRAW現像したものです。





これを撮影したとき不思議な感覚を持ちました。特別何かしたわけではありません。
全ては両手に、意志の解放を右手に、まなざしは左手に、ファインダーの先に狭く小さな世界はありました。
最後になります。記事を書いていて目頭があつくなりました。
露光時間にだけ現れる灯や命のようなものがあります。出逢いに行くためにこれを持っていくのです。
あと何度、このような邂逅をが許されるだろうか。
あとどれだけ、本気でぶつかれるだけの相手に出逢えるだろうか。
最後になって「写真やっててよかった」と云えるようになれるか。
本レンズは、私にいちばん最初の通過点と原点をくれました。
最後にちょっと諸元
Ai-S Nikkor 300mm F2.8 ED IF (NEW)
最短:3m
絞り開放:F2.8
レンズ構成:6郡8枚(保護ガラス1枚)
絞りばね枚数:9枚だったはず
レンズフード:HE-4
フィルター径:39mm(内蔵式)
最大径×長さ:132×255(mm)
情報の一部は、 双葉社 季刊クラシックカメラ特別号ニコンF100+ニッコールレンズ 1999年10月06日発行 による
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http://untenteisya.blog.fc2.com/blog-category-22.html最終更新 2020/10/11
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- 2019/03/26(火) 23:12:21|
- レンズの話題
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近所で停電があったようです。原因を先ほど知り、腑に落ちたところです。

久しぶりに50mmで振ろうとここへ行ってみたら灯りの色が変わっていて、新たな装い。
暗室のセーフライトみたな色で、「赤灯流し」と呼んで愛着があったものです。
2012年からの流し撮りの練習はここでありました。
1日の本数が限られ、レリーズのリリースポイントは1秒もなく、灯りに照らされた箇所を目標に、ひたすら「そこの位置で切れ」の練習。通過速度はその日によって変動のため耳をつかい速さの見極めを。ちなみに今日の列車は並以下の速さ。
そして次第に音の振動が大きくなると、住宅街の死角から飛び出してきます。
切る位置を固定しているために自分が動いたらどうなるのか、3時の方向へ50cm動いたらどうか、引いて105mmで撃ったらどうなるか、35mmなら迫力がない。など、研究は尽きない物でした。
それから回数を経て大学3回生の後期制作でみせられる程度の絵を送り出し、ひと段落。
光源の色ひとつでこうも印象が変わるものか。地元はなんでも教えてくれます。

地元の桜でございますが、すでに咲いている箇所がほんの少しだけ。じきに賑わう事でしょう。。
- 2019/03/22(金) 22:53:48|
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