
主力投入して4年も過ぎればできるだろう と、今回は我が主力であるD700のインプレを書きたいと思います。
▼投入とルーチンの確立発売は2008年7月25日。
簡単な機体紹介としては、D3ジュニアと言わんばかりにD3のセンサー含め中身をD300につぎ込んだカメラです。
起動時間は約0.012秒、レリーズタイムラグは約0.040秒(CIPA基準)です。後者に相当する、もしくはもっと早い数字を出せるのはD2シリーズ以降の1桁機のようです。
導入はD800の発表があった2012年2月7日。今後、パーティーにおいて主力となるキーデバイスを担う機体のため、他候補D300Sと悩みながらも、最終的な決断は本機を選択しました。
D5000からの乗り換え当初は、かなり広いファインダーに左目1つで行きわたらせることができなかったり、被写界深度の浅さや、視野率95%ファインダーで架線注1本が見切れなかったりと、カメラに数カ月は蹴落とされました。「この機体は人を選ぶのか」と思っていましたが外から見ればただの研鑽不足。しかしフィルム消費のロスが無く練習はし放題のため、疑問が出たらトライ、また疑問が出たらトライを繰り返しました。
鉄らしく当時は望遠域の心配もしました。無いから困るというワガママよりかは、 「あり物でどうにかなるだろ」 と覚えました。またもう一つ知ったのは「単に制約の多い場所を選ばなければいい」です。D5000とDXレンズも居たわけですから望遠・イレギュラー担当に充てて、本撮影をD700という理想的なパーティーを組んでいたと振り返って思います。
Ai改造の理屈を、105mmを捨て覚悟で発見してしまったのを機に安いMF単焦点レンズでシステムを固め、看板コーナーである「レンズの話題シリーズ」のレンズ紹介にも1段階以上の加速がかかります。ともあれ携帯性は一桁機よりも背丈の差額だけ高く、嵩張らないため毎日大学へ持ち出せたのは最大のメリットです。
▼最前線を担う機体として同期から
Ai AF Nikkor 28mm F2.8Dを月単位で預かり、あの
「鉄が撮る写真は狭いんだよ」を知るために空間把握の仕方を練習しました。AF28mm F2.8D、
Ai NIKKOR 50mm F1.4、
Ai AF Zoom-Nikkor 80-200mm F2.8D ED(N) の3本でだいたいの撮影が賄えるようになったころには同年の夏でした。
2013年度からD700の撮影テンポへ完全に切り替え、D5000を引退。D300も一時期つかいましたが、秋ごろからは単体で運用しました。
2014年に入ってからの北陸、長野、新潟の、北陸新幹線開業に伴う平行在来線の撮影(同年7月~15年3月までは最低でも月1出撃)と、2015年の戦意喪失を経て銀座SCにてオーバーホールを通しました。
結露で修理4回と、電池バカ食い1回の部品交換を除いて、ベースのメカ部分は4年間もノーメンテです(
説得力がない)。
レリーズ部の劣化で、普段の跳ねるように押す軽いタップ量では、反応したりしなかったりが大事な場面で出てきてしまったのと、ショット数も最後のコマで237,621ショットを出していたためです。SCからも「オーバーホールを」ということで、容認に至りました。
2016年6月下旬まではD300に軽い仕事は振りつつ、その後PENTAX K-5にその任を移し、何台ものサブ機と組みながら、本機は重要作戦の切り札として、最前線での運用を2017年10月31日まで担いました。本機は、、2012年2月7日から数えて2093日にも及ぶ歳月を、貸与、修理・OHの期間もありましたが筆者の手に握られ活躍の日々を過ごしてまいりました。
▼いまだ現役そして2017年11月1日。
筆者の主力機として新たに
D4が入線いたしました。D700は今後も継続して使用していくのですが、原則は波動用の位置付けで、火力補填やD4を使うほどでもない案件の仕事を振りながら壊れるまで使っていきます。
本年の年末には、ウエイトの関係で青春18きっぷの旅パーティーからとうとう外れ、主力の交代を肌で感じました。とはいえD4ばかり使っていると、レンズ交換と小ささ故の瞬発力で、本機を1歩前に行かせる目に見えないポテンシャルを見ることになります。それだけ小回りと汎用性を持った機体だと再認識しました。
2017年度は廃止を控えた三江線。2018年8月・9月では山陽本線不通に伴い設定された山陰迂回貨物(新山口~益田~米子~伯耆大山~倉敷を経由)の後段作戦でD4と2台体制を敷きました。メインはD4で力押しで行き、万一のバックアップを本機と分担させた死角を殆ど作らない作戦です。
迂回貨物回では運用面でも煮詰めていき、三脚も横づけできるリュックと小さめのショルダーバッグの編成。後者に
AF-S Zoom-Nikkor 24-85mm F3.5-4.5G (IF)、
Ai AF Zoom-Nikkor 80-200mm F2.8D ED 〈NEW〉と、
Ai-S Nikkor 50mm F1.4の3本が入り、取り回しのいい本機のハードに5秒もあればどの玉からも換装ができる最速のシステムとしてパーティーに貢献しました。100本以上、多様な写真用レンズを扱ったとしても、結果ほしいものは拾っていく速さでした(うちの環境の場合です)。本年になって、パーティーでのプロダクトラインで必要なレンズのデバイスが見えてまいりました。
それは西にあったのですから。
2019年8月1日。D4を生贄にD850を導入致しました。
本機から始まったFXフォーマットの運用は3代目と世代交代し、置換え事由も含め、これまでに得てきた運用データを反映させる運びです。
秋の宇部線・小野田線へ行く遠征ではD850のストレステストのために護衛機として派遣。手数が足りないシーンで確実な補填をし、筆者の身体が覚えているなりの安定度を発揮しました。反面、やはり古い機体だとさすがに隠せなくなったな と思うようになりました。

朝の氷見線で展開中のD700
▼感想・そのほか雑記 率直な感想を申し上げるとするならば、大学卒業くらいまで「カメラを使って写真を撮っている」という感覚が ほとんど 無かったです。D4シリーズや他のフルサイズミドル機がリリースされても画素数が高すぎて殆ど興味は無し。もう10年前の機体となりましたが、机上での数字はそれとしても撮り手としては総合的に快適な機体だったのです。
撮影用途や目的に応じてバッテリーグリップの有無が選べ、かつ装着時(単三8本 or EN-EL4e)では、秒間5コマから約8コマへ連写速度が引きあがります。ボディ側で重量が足されるため、300mm F2.8以降の超望遠レンズを付けたときも安定し、借りて試用した事のあるD3に迫るものを持ちながらも、本体のみの短い単焦点レンズ1本で機動力に転嫁する方向も可能にしてくれます。
D3などの一桁機にないメリットをもうひとつあげるとするなら、本体とグリップで2つの電池が入れられる点です。片方が切れても動きます。また結露で本体が動かなくなってしまっても、単三電池かEL-3eをバッテリーグリップを差せば回すことができるようで、寒冷地にて故障した際は何度か事なきを得た経験があります。 D700にしといてよかった
(追記 2017/02/03)
しかし去年あたりでサポートも終了してしまったため、寒冷地へ行くには不安が付きまとい、危ない橋を渡るような撮影には躊躇があります。仮に本体の基盤を潰したら大きさの面でD3よりも使い勝手が悪くなりますし。。。いまD700と
過不足なく同じ量の仕事ができるカメラがラインナップにないなかで、私が選択できるのはD4シリーズだけなのでしょうか。
(追記 2017/07/13)
耐久性だけならD3Sにしてもと考え始めております。差額を他に回せる意味でもう1台D700を投入してもいいかと…
(追記 2017/09/30)
上カバーのシャッターダイヤル付近の部分に浮きが見つかりました。一桁機の投入に腹をくくろうと思いました。
D850を電気店で触ってみたものの、やっぱりフィーリングがお高いD750で、全くもって程遠いものでありました。というわけですから、自分の直感についてこれる機体を手に入れます。
(追記 2019/07/04・07/05)
これは7年半にわたり運用してきた個人的な解釈でありますが、本機は何も話してこなくなりました。撮影に駆り出すとたいそう嬉しそうにする反面、自身の役目を機体が一番解っているようにも感じます。
後にも先にも、超広角レンズから超望遠レンズ、シフトや魚眼などのエフェクト、変わり種まで、一つのデジタル一眼レフカメラで調べてきたという実績は本機が今後も守っていくと思われます。
D4へメインが2017年11月からシフトして1年半ほど。新規実装の機能や実用高感度域の拡張を目の当たりにし、昨日(4日)、D4の撮影テンポで本機とペアで撮影を行い、本機の高い汎用性と必要十分なポテンシャルを再認識しました。
これを意識し、残しながらD850の導入は出来ないものかと考えております。
(追記 2020/10/02・10/03)
旗艦機の乗り換えを2度も目の当たりにした本機は、D850にほぼ全てを託し、余生を送るように月2度ほどの出番で回しています。
本機からの物差しでは「
飛ばしすぎていてトラクションを犠牲に最高速度だけを求めた機体」で見えてしまいます。それを、逆でやったらどうなるか。
見た目は殆ど似ているものでありながら、まるっきり別の性格で、回し方も180度違うものです。しかしながら、ちょっとでも流せば本機はトラクションと突っ込みで張り合えます。身が、機体を覚えているのです。
▽ボタンの割り当て
まずは右手薬指で押せるFnボタンは「レンズ手動情報設定」です。 お前のことだから言わずもがな といえばそれまでなのですが、これは主力MFレンズでのレスポンス確保と「これをいま付けている」という2重で目視確認ために割り当てています。
内訳は、
① 28mm F2.5
② 50mm (50mm F2に充てる場合もあり)
③ 55mm F1.2
④ 105mm F3.3(削りすぎたため)
⑤ 135mm F4(Ai-S80-200mm F4用)
⑥ 200mm F4
⑦ それ以外のゲスト枠 300mm F2.8 400mm F3.5 400mm F2.8などの単体とテレコン対応用
⑧ 45mm F2.8
⑨ 70mm F3.5(Ai-S35-70mm F3.5用)
といった具合です。
右手中指で押せるPvボタンは「マイメニュートップ項目先へジャンプ」にしています。D300との共通化ができたら誠に嬉しかった機能の一つで、中指でひとつで「露出設定ステップ幅」を呼び出せるようにしています。
中身は物理切り替えができない項目を、『至急』と『もっとも使うもの』を上から5クリック、中間に猶予がある時に使う項目、下から7クリックくらいの範囲に電池チェック・水準器表示・クリーニングミラーアップ等を割り振ります。右手だけで電源から短絡的に設定できるのは非常に助かっています。
このほかはドライブは常時CH。露出設定ダイヤルは基本1/2ステップで状況に応じて中指と十字キーでいつでも切り替えします。D300と同じくレリーズボタンは完全独立で、MF→AFレンズを付けても半押しではAFは動かず親指AF+コンティニュアスAF(AF-C)をデフォルト設定にして、押せばピント関係なしにシャッターが落ちる設定にしています。これによって、意図に反してカメラが勝手にピントを作ることはありません。このほかは撮影直後のプレビューはOFFです。
ウザい、邪魔長くなりそうなのでここで止めておきますが、ざっくりまとめると撮り手に隙とストレスを与えない完全速写設定です。
遅いと思ったのはCFカードの書き込みに待たされるくらい。RAW撮影時は低感度で「落ち着いて撮れ」とする部分も持たせてあるのでリミッター役としています。
拙いながらの表現ですが、画素数を除いて汎用性のある本機は、撮り手によって結果が顕著に変わる機体と言うべきでしょうか。逆をいえばカメラが人を選び、結果が写し鏡なのです。
12MP機で画素数が少ないところは泣き所になってきた部分もありますが、果たして、半切やA3以上をコンスタントに出力したことがどのくらいあるかによるのではと考えています。それにコンビニで買ってきた惣菜を一品物の名皿に盛りつけるということはしたくありません。
あとは撮り手に完全依存すると思いますし、私は温故知新の狭間で撮り続ける流れ者でありたいです。その方が居心地が結構ですし必要な時に押し通れるだけのものは隠していたいものです。
そしてプロになるつもりもありませんし呼ばれる筋合いも一切ございません。かさねて本来ならば、そんな1円玉の高さや花壇の柵ほどに低いものではないはずです。自分が行こうと願った場所へ、自分の信じた道具をもって、自分にしかできない撮影をしてくるまででございます。クライアントも居ませんので好き勝手し放題で自分のために動くわけです。一寸先の終着点へ瞳をむけたとき光を捉えられる力が、越えた者、流れ着いた者、手にしてしまった者が見いだせる本質ではないものかと考えます。

本機で撮影した1コマをご紹介します。
本体のみで、手持ちで撮影できる軽快さが割り切りと決断につながりました。

押しきれなくなってもうひとつ。
つねに我がパーティーの最前線で戦い続け、わずかな一瞬に肉薄する。総じて「欲しい時にすぐ撮影ができる」 という、この当たり前のことがD700にはある気がします。
☆これからD700を手にしたい方へ☆本機はかれこれ手もとに8年おります。
このD700はロールアウトから10年がとうに経過し、登場当時は東海道口でブルートレインが辛うじて毎日運転。通信手段はガラケーでEメールの時代。それが10年と少し前であります。本機のインフラはそれだけ時間差で古さを感じるかもしれません。メーカーによるアフターサービスも終わってしまい、直接的なメーカーとのつながりも無くなってしまったデジタルカメラであります。
入手の際は中古カメラ店での経路が主になります。
▽
買い増しの場合買い増しで検討の方は、いまお使いの機体や運用方法によってこの本機の立ち位置が変わってきます。
・DX入門機からD7000系統をメインで運用している場合
筆者もD5000からなのでこのパターンです。入門機→D700の場合は画素数を除いて本機が前へ出ていくケースが多いと思います。小さい機体にもメリットがありますので、お互いの長所を伸ばしていく運用が望ましいと考えます。偏ると寿命が早く来てしまいます。
高速連写が重視される撮影が多い場合は、MB-D10とエネループで、秒間約8コマ連写(実際は7.5コマ前後)があると便利です。特に入門機からの投入は、広く見やすいファインダーやAFの確実性(レンズ・設定に依存)にも貢献度があり、即主力になり得ます。
D7000系統からは堅牢性や操作性といった撮る道具としての扱いやすさか、ぼけを重視した撮影をもっとしてみたいユーザーに手に取ってほしいと思います。D4・D7100で、3泊4日の運用経験からいきますと、もしかすればD一桁機へ行く方が満足度があるかもしれません。。
・D300系統やそれ以外のNikon機から行く場合
D300・D300Sからは高感度の解決が主になると考えます。バッテリーグリップも共通デバイスなので入りやすい1台です。
後者は運用したことのない機体もあるので憶測でありますが、
落ち着いて撮影したいときといった、最高速度のレンジが低い時に使ってみたくなる機体になるかもしれません。
D700は見劣りする部分は多々あるものの、絶妙なバランスで構成されている機体です。その日の撮影プランで、本機がメインか、サブになるか、どちらにでもなれる可能性が十二分にあるのです。
よほど夜間や、全暗黒に近い撮影メインでない限りは、レンズ次第でどんな被写体とも一通りは渡り合うことができます。それは運用する人間の練度へ本当に依存するものです。
・他マウントの機体と併用したい場合
だいたい上記にあたります。目的を明確にしてパーティー内の足りない部分を埋めたり、純粋に安価な投資でFマウントのレンズを愉しんだり、拡張性はユーザー次第です。
▽カメラ未所持で本機へ行く場合なかなかストイックです。
レンズの拡張のしかたで撮影の幅は広がり、撮影する楽しさを味わえます。カタログ表記にないものがあなたを満足させてくれることでしょう。
ゼロスタートで本機を手に入れて鉄道を撮っていきたいというスタンスでしたら、手頃な50mm(F1.4がよろしいかと思います)と80-200mm F2.8、70-300mmといった、標準+望遠枠のセットがベターになります。こちらはお財布と相談で本格的に行きたい方は望遠を135mmに設定し、貯金がまたでき次第、つぎを考えるという手段もあります。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
もし、「比較的手頃な初期投資で本格的な35mmフォーマットのデジタルカメラが欲しい」、「もっと写真に触れてみたい」など思いがあるようなら本機は過不足なくあなたに返ってきます。そこまでは行動と勇気に帰属します。中古店でいちど触れ、最初のインプレッションで何か一つでも引っかかるものがありましたらその先があると思います。
先ほども触れたとおり、アフターサービスが終わった兼合いで、故障時の修理は業者を見つけない限りは戦闘不能と隣り合わせになります。
クラスとデジカメとしての製品寿命を考えると無理はできず、本当に残したい場面まで他の機体で温存させて使用させるか、地方私鉄の主力のごとく比較的ローテンポで運用させるか、撮り手のビジョンが本機を選ぶか決め手となりそうです。
店の方と相談して良好な1台を見つけるのと、購入時は保証の形態をくまなくチェックすることが必須です。
「2020年05月04日」の中古相場としては、
安定枠で4万円台。なかでは3万円台まで見かけるようになりました。レンズも中古で揃えてしまうと拘らずにいけば2万円程度の余裕で見つかります。
とにかくば、最初にすべて揃えようと思うとまず財布が追いつきません。
もしくは投入をそこで完結させてしまうと途中で写真・カメラに飽きてしまう可能性もあります。少しずつ揃えていき撮影し、「何が足りないのか」「どうすればこの状況はより改善するか」を調べていくのです。
最後に本機を鉄道車輛に置き換えるとですが、3両の短編成から長大編成まで多彩な運用とパフォーマンスが可能な485系ではないでしょうか。
↓メーカーのホームページはこちら↓
http://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d700/最終更新 2020/05/04
↓『続きを読む』では、より詳しい作例を貼っております(気が向いたら増えていきます)
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- 2016/06/28(火) 20:16:48|
- 機材インプレ
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